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メジャーリーグ 大谷翔平

メジャーリーグ 贅沢税の仕組み!大谷翔平のドジャースは後払い恩恵あり?



2023年12月、大谷翔平選手がドジャースと10年7億ドルの契約を結びましたね!

契約金額の受け取り方が特殊なので、これによるメジャーリーグの贅沢税に関しても日本からの注目度が高まりました。

MLBを見るだけなら別にどうでもいいんですが笑、贔屓のチームの応援のためには贅沢税について知っておくとより深く楽しめます。

当ページでは、そんなメジャーリーグの贅沢税に関してざっくりと解説をしていきます!

ポイント

  • MLBでは金満球団の一人勝ちを防ぐため、贅沢税制度が導入されている
  • 贅沢税は、その年のチームの年俸総額が対象
  • 2024年で言えば2.37億ドル以上になると贅沢税が課税される
  • 超過分がかなり多い場合はドラフトの最上位指名権も順位を下げられる
  • 複数年契約の選手の場合は、契約金額を年数で割った額が年俸として計上
  • 但し契約年数を超えての繰り延べ支払い(後払い)だと、現在価値に引き直して計算
  • 大谷選手の場合はドジャースと10年7億ドルだけど20年払い
    -後払いの比率が大きすぎるため、現在価値に計算すると10年4.6億ドルになる
    -つまり年俸4600万ドルとして、チーム年俸総額に計上
    ※実際の年俸は200万ドル、そして4400万ドルはエクスロー口座に入金
    ※11年目から10年かけて、エクスロー口座入金分含めて7億ドルもらえるようにする
    -ドジャースの贅沢税緩和という意味ではちょっと効果あり
    ※尚、11年目以降はドジャースの贅沢税計算に大谷さんの分は乗らない



2023年の贅沢税が確定!

2023年シーズンの贅沢税ですが、多い順番に以下の8球団となっております。

メッツはMLB初の総年俸3億ドル超え…そして贅沢税も莫大です(^_^;)

  • メッツ:1億78万1932ドル
  • パドレス:3970万ドル
  • ヤンキース:3240万ドル
  • ドジャース:1940万ドル
  • フィリーズ:698万ドル
  • ブルージェイズ:550万ドル
  • ブレーブス:320万ドル
  • レンジャーズ:180万ドル



メジャーリーグ 贅沢税の仕組み、計算方法など

メジャーリーグで贅沢税が採用されているのは、チーム力の均衡化を図るためです。

金満球団が強い状態を避けようってことですね。

高めの税金をかけたり、ペナルティとしてドラフト指名権の順番を下げる仕組みで、短期的にも長期的にも各チームのパワーバランスを取っているんです。

贅沢税、英語だと「Luxury Tax」。

正式名称はCBT(Competitive Balance Tax)

メジャーリーグにはサラリーキャップはないよ

まず大前提として、メジャーリーグには「サラリーキャップ」はありません。

「サラリーキャップ」はアメフトのNFLやバスケットのNBAなど、世界のいろんなスポーツリーグで採用されている制度。

戦力を均衡化するために、選手に支払う年俸総額やチーム総予算に上限を設けるシステムです。

ですがMLBではプレーオフを逃したチームが主力選手を放出しまくるなど制度の穴が露見。

それによってMLBによりマッチした「贅沢税」が2003年から適用されるようになりました。

尚、最初の贅沢税適用チームはニューヨーク・ヤンキースです。

より詳しく知りたい方はウィキベディアの「サラリーキャップ」ページをお読みください。

贅沢税は総年俸が対象、いくら超えたらまずい?(閾値)

まず贅沢税の対象となるのはその年の総年俸に対してです。

そして贅沢税が発生するライン(閾値と言います)は毎年微妙に異なるんですね。

具体的にはこんな感じに設定されています。

  • 2022年:2.30億ドル
  • 2023年:2.33億ドル
  • 2024年:2.37億ドル
  • 2025年:2.41億ドル
  • 2026年:2.44億ドル

閾値は毎年ちょっとずつ上がっているんですね!

これはなぜかはわかりませんが、選手年俸の高額化に伴い…という感じでしょうか。

尚、わかりやすく円換算すると、2.40億ドルなら348億円ってことです。

※1ドル145円計算

具体的なペナルティ金額

贅沢税の限界ライン(閾値)を超えると、その段階に応じて課税という形でペナルティが発生します。

まずはベースとなる課税の計算方法が以下の通り。

  • 閾値オーバー1年目:超過分の20%
  • 閾値オーバー2年目:超過分の30%
  • 閾値オーバー3年以上連続:超過分の50%

さらに大幅に超過した場合は追加の課税が発生してしまいます。

具体的には3段階が追加設定されています。

  • 2000万ドル以上の超過:+12%の課税
  • 4000万ドル〃:超過初年度+42.5%、超過2年目以降+45%の課税
  • 6000万ドル〃:+60%の課税

ベースの課税が1つ目。

その後、2000万ドルずつ閾値が3つ追加設定されているわけです。

なので段階的には全部で4つ。

最後4つ目の閾値は最大贅沢60%が課税され、メッツのオーナーの名前から「コーエンタックス」とも呼ばれています。

ポイント

例えば贅沢税発生1年目の球団で、チームの年俸総額が閾値より7000万ドルオーバーしたと過程します。

この時、7000万ドル全てに対して60%の課税とはなりません。

さすがにそれは鬼ww

まず超過分の7000万ドルに基本ルールの20%が課税されますが、あとは段階的な超過分への課税がされる仕組みです。

ドラフトの最上位指名権も不利に

贅沢税の閾値4000万ドル以上オーバーとなった場合ですが、ドラフトの最上位指名権も不利になります。

具体的には10位ぶん下げられてしまうので、その分有望株選手を獲得するチャンスが消滅。

まぁ誰が当たるのかはわからない世界ですが、中長期的に見たらチーム戦力の強化に影響あり、です(^_^;)

実際に贅沢税を計算してみよう

直近のシーズンを例に、実際に贅沢税が発生した球団の課税を計算してみましょう。

ルールを覚えて一度やってみると理解度が深まります!

2023年ドジャースのケース

  • 年俸総額(AAV):年俸総額(AAV):2億6820万ドル
  • この年の贅沢税閾値:2.33億ドル
  • 差額:3520万ドル
  • 基本税率:3年連続での閾値オーバーなので50%

2023年のドジャース贅沢税はわりと簡単に計算できます。

以下の計算の順番をご確認ください。

  1. 閾値オーバー分の3520万ドルに対して基本税率50%で1760万ドル
  2. 更に2000万ドルを超えた分、つまり1520万ドルの12%が182.4万ドル

上記2つを出して合計1942.4万ドル

前年の2022年は閾値超過分がかなり多かったため、もう少しだけ手順が増えますよー。以下も併せて計算方法ご確認くださいませー。

2022年ドジャースのケース

2022年シーズンのドジャースですが、まずは状況を整理!

  • 年俸総額(AAV):2億9333万ドル
  • この年の贅沢税閾値:2.30億ドル
  • 差額:6333万ドル
  • 基本税率:2年連続での閾値オーバーなので30%

なんと4つ目の閾値(いわゆるコーエンタックス)もオーバーしているので、計算手順的には以下の4つになります!

  1. まずは閾値オーバー分の6333万ドルの30%で1899.9万ドル
  2. 2000万ドル以上の超過分に12%の課税で240万ドル
  3. 更に2000万ドル以上の超過分に45%の課税で900万ドル
  4. 最後に6000万ドルを超えた分、333万ドルに60%の課税で199.8万ドル

これら4つの数字を足して、この年のドジャースの贅沢税は3239.7万ドルとなりました。

多少誤差はあるかも知れませんが、ほぼこれに近い課税額となっておりますよ!

参考までに:ドジャース 年俸ランキング(過去の年俸総額と贅沢税も)

2022年ヤンキースのケース

ではヤンキースのケースでも計算方法を復習♪

  • 年俸総額(AAV):2億6775万ドル
  • この年の贅沢税閾値:2.30億ドル
  • 差額:3775万ドル
  • 税率:前年に閾値を超えずリセットされたので20%の税率でOK

ではまず最初に閾値をオーバーした3775万ドルの20%を算出しましょう、、、これが755万ドルになります。

そして第二の閾値である2000万ドル以上の超過分である1775万ドルに12%をかけて213万ドル。

というわけで、合計968万ドルが2022年のドジャースの贅沢税です。

超過分が多くないとシンプルで簡単ですね!

参考までに:ヤンキース 年俸ランキング(過去の年俸総額と贅沢税も)

贅沢税の対象となる選手やAAVという概念

では贅沢税の回避のために重要な年俸総額の計算方法についてです。

これは選手の平均年俸を合算したもの、となります。

シンプルなようで、複雑な要素も多分に含んでいます(^_^;)

シーズンオフのロースター40人が対象

メジャーリーグは本当に選手の移籍が多いですよね。

プロ野球の比ではありません。

じゃあどこで年俸総額を確定するの?って話なんですが、それはシーズン終了した時点です。

その時のロースター40人。

※年俸負担したまま他球団に行った選手、またマイナーにいる選手の年俸なども贅沢税の計算に加わります。

なのでプレーオフ行きが絶望になったチームは年俸の高い選手を他チームに売り、シーズンオフにかかる贅沢税を回避しようとします。

逆にプレーオフに行けそうなチームは、贅沢税を覚悟しても年俸の高い良い選手を買い、プレーオフ行きを目指します。

これがいわゆるトレード・デッドラインでの動きですよね。

但しトレード・デッドラインまでに補強をしてもやっぱりプレーオフ行きが無理になった場合、今度はウエーバー・デッドラインまでに主力選手をウェーバー公示にかけて他チームに行かせることもありますね。

これが2023年のエンゼルスでした(^_^;)

※贅沢税発生可能性があったものの、最終的にはちゃっかり回避してましたからね!

で、最終的に全球団の贅沢税が確定するのはクリスマスくらいです。

贅沢税の対象となる年俸総額はAAVで算出

メジャーリーグの選手でも複数年契約の方は多いです。

5年1億ドルとか、7年1.2億ドルとか…

しかも毎年均一にお金をもらう契約方法とも限りません。

そうなると贅沢税の計算もややこしくなるため、基本的には平均年俸で計算します。

これは契約金額の受け取り方に関わらず計算する方法。

例えば5年1億ドルの選手なら、平均年俸は2000万ドルということになります。

AVVとは?

AAVというのは「Annual Average Value」の略です。

直訳すると、(契約年数における)「1年間の価値の平均」。

その選手の現在価値を契約年数で割ったもの、という考え方ですね。

このAVVが贅沢税を計算するための年俸となります。

そして先程も書いた通り、ほとんどの選手のAVV=「契約金額を契約年数で割った数値」になります。

契約金や出来高プラスに関して

契約金はもちろん、年俸に直して計算されます。

またよくある出来高払いについては、条件クリアして実際に支払いが発生すれば平均年俸(AAV)に加算されます。

これは不確定要素が含まれますよね。

一番ややこしいのは各種オプションです。

ものによっては加算されたり、またされないものもあるんですね(^_^;)

正直ここまで深掘りするのは脳が疲れるのでおすすめしません笑

AAVを下げる方法、裏技?

メジャーリーグの球団が贅沢をちょっとでも下げるために使っている方法があります。

それが契約年数を多めして、平均年俸を下げること。

たまに「そんな年齢まで現役できるの?」っていう長期契約がありますが、あればまさにそれを目的としたものなんです。

5年で100億円の価値(年俸20億円)がある選手でも、10年契約にすれば年俸は10億円になりますよね。これでAAVが下がり、贅沢税を緩和できます。

そしてもう1つ、まさに裏技、ウルトラCのような方法なんですが、それが契約金額の後払い、繰り延べ払いです。

今までもこれに該当する選手はちょこちょこいた(ムーキー・ベッツなど)んですが、とんでもないレベルでやってしまったのがそう、、、ドジャースの大谷翔平選手ですね!

《重要》後払い、繰延支払いは贅沢税回避に有効

例えば5年契約の選手が5年間で契約金を全部受け取るなら平均年俸(AAV)はそのまま。

なんの問題ありません。

ですが契約年数を超えて受け取るなら話は別、平均年俸(AAV)を「契約年数を長めにする以上に」下げることが可能。

この例がまさに大谷翔平選手!

10年7億ドルの契約ですが、実は20年間に渡って支払うという契約内容になっています。

しかも11年目以降に契約金額の97%を受ける前代未聞のものになってます!

参考:大谷翔平 現在の年俸&時給116万円までの推移!トラウト、メッシ超え

大谷さんのような極端すぎる繰延支払いは例がありませんが…具体的な解説は以下をお読みください。

大谷選手の「契約金額後払い」が贅沢税回避に有効な理由

7億ドルでも現在価値は4億6000万円?

10年7億ドルをきっちり10年間で全てもらうならばその現在価値は7億ドルのままです。

これを10で割れば平均年俸(AAV)が出ますよね。

はい、7000万ドル(約101億円)です。

ですが今回ドジャースとの契約では20年払いになっています。

  • 最初の10年間:200万ドル/年(2億9000万円)
  • その後の10年間:6800万ドル/年(9億8600万円)

となると、インフレ率の関係から現在価値は減少

7億ドルはあくまでも将来価値でしかなく、算出される現在価値は4億6000万ドルとなります。

そしてこの4億6000万ドルを10年で割った「4600万ドル」が大谷選手の平均年俸(AAV)となり、贅沢税が計算される仕組みです。

大谷さんサイドが「10年で7億ドル払ってください!」と言っていれば、ドジャースの負担も更に上がっていましたね。

繰り延べによって契約金額の価値は下がっても、契約自体の価値が下がることはありません!

あくまでも計算上の話でしかありませんので。

ちなみに大谷さんの年俸を4,600万ドルとしても、メジャーリーグ史上最高額ですから(^_^;)

球団のデメリットもあるよ

球団としては贅沢税を回避しやすい、緩和しやすいこの大谷さんの契約方法。

ですが一応デメリットも考えられます。

それは大谷さんが現役を引退したあとも10年間に渡って6800万ドル/年(9億8600万円)を払い続けないといけないってこと。

フィールドにShohei Ohtaniはいないわけですから、彼のブランドで稼ぐことは難しいですよね。

でもドジャースはそれも織り込み済みで契約したはずです。

というか、メジャー随一の金満球団であるドジャースにとっては痛くない金額かもしれません。

また契約金額分なんて、最初の5.6年で回収できるという説もあるくらい。

「将来の莫大な支払い」は、小さな球団にはかなりのデメリットですが、潤っている球団であればそこまで負担にはならないのかも知れません。

訂正:ドジャースは最初の10年で毎年4600万ドル支出する!

当初の話では、ドジャースは最初の10年は大谷さんに毎年200万ドル払うだけ、と言われていました。

ですが実際は、10年間で贅沢税上の年俸分、つまり4600万ドル/年を支出することが判明しました。

具体的な内訳はこの通り

・大谷選手の年俸:200万ドル
・エスクロー口座へ入金:残りの4400万ドル

これを大谷選手がドジャースにいる10年間行うとちょうど4億6000万ドルとなりますよね!

※なので大谷さんが引退するであろう11年目以降は贅沢税の対象外。ここを勘違いしている方が多いみたいですね!

そして11年目からは、エクスロー口座に入っているお金+利息分を入れ、支払い総額7億ドルになるよう調整して渡す、と。

この利息分も10年かけてエクスローに入れておくのかどうかはよくわかりません、不明です。

こうやって見ると、結局は「4億6000万ドルの契約で、利息分含めて7億ドルをもらう契約」なのかな?という印象ですよね。

で、ドジャースは贅沢税回避できたの?

まず前提として、ドジャースは贅沢税を絶対に回避したい!というチームではありません。

むしろ必要な戦力獲得のためなら、贅沢税支払いも厭わないという姿勢。

この辺はエンゼルスと真逆です(^_^;)

2023年プレーオフは初戦で負けましたがこの姿勢は本当に素晴らしい!

で、おそらくですがドジャースの2024年以降の贅沢税は確実に発生すると思います。

ですが課税額はやや抑えられるため、負担はちょっと減りますね。

具体的には大谷さんの年俸分は4,600万ドルとして計上。

7億ドルを10年でもらい切るなら7,000万ドル計上なので、それよりも2,400万ドルの余裕ができる。

※2024年の贅沢税の閾値は2.37億ドル

優秀な選手1人の年俸分くらいは浮いたかな?という感覚でしょうか。

ドジャースがどんな補強やトレードをして、結果総年俸がいくらになったのか?などは今後の動きを見て追加していきたいと思います!

※早速、グラスノーとマーゴさんを取りましたね!

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